ノイズ除去の功罪(1)
ノイズ除去という機能を使う理由は何でしょうか。
最も大きな理由は、映像を見やすくするためです。
ノイズ除去には、大きく分けて2つあります。
ひとつは、平面的なノイズ除去。狭い意味で単に「ノイズ除去」といえばこれを指します。
別名として「2DNR(NR=Noise Reduction)」と呼ばれる(書かれる)こともあります。
基本的な原理は、
- 周辺の平均値との差が小さい部分は、平均値で置き換える。
となります。
拡大
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ノイズ除去をかけると、平面的な部分の微妙な色の変化が平滑化されています。
それでいて、エッジ(上の画像ではタイルの境界線など)はそのままに保たれています。
また、これをやると圧縮がかかりやすいという副次的効果があります。
上の画でファイルサイズを比べてみてください。
これはMPEG2などの形式に変換するときも同じです。
逆に、ノイズ除去をかけることによる副作用もあります。
拡大
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ノイズ除去が強すぎたため木の葉の1枚1枚が平滑化されてザワザワ感が消えてしまいました。
「ディテールが失われる」という表現がよく使われます。
他にも布地やコルクボードのように微妙な凹凸があるものがのっぺりしたプラスチック板のようになってしまいます。
また、平滑化する部分とそうでない部分のボーダーラインで急に質感が変わってしまい、見た目が不自然になるという弊害もあります。
2Dノイズ除去ではボケ感をごまかすためにエッジの強調処理を重ねがけすることが多いのですが、よほどうまくやらないと質感のギャップによる不自然さが強調されてしまいます。
上の例は、わかりやすくするためにわざと強調しています。
遠景のビル群と線路のある部分のモヤモヤ感と、近い位置の建物のクッキリ感のギャップを見てください。
ビデオカメラ、デジタルカメラでもこの処理は行われているので、一度見てみてはいかがでしょうか。
印象に残っているところでは、民生用初の小型HDVカメラ、ソニーのHC1という機種のデモンストレーションがあります。
巻き毛の犬のぬいぐるみが使われていましたが、この巻き毛がちょうどノイズ除去のボーダーラインにあったらしくゴワゴワ・のっぺりのギャップが目立っていました。