デジタルは劣化しない、のウソ

せっかく作ったビデオ作品や家族の貴重な映像は、できることならいつまでもきれいに残したいものです。 しかし、世の中怪しげな情報も出回っているようで・・・。
はっきりいえることはタイトルにも書きましたが、
  • デジタルは劣化しない
というのはウソだということです。しかも2重の意味で。
1つめは、デジタル記録されたDVDだって、磁気テープだって、メモリーだって劣化します。 記録している物体が劣化するので、それに記録されているデータも劣化すると考えてください。 その結果として映像が痛むのですが、痛み方についてアナログと若干クセが違います。
アナログの場合は、最初の劣化は見てもわかりません。 それが少しずつ積み重なりやがてノイズ・ゆがみ・乱れとして目に見えるようになります。

アナログ映像の劣化のイメージ図
デジタル(注:ここではMPEGやDVなどの圧縮映像に限定する)の場合も、記録している物体の劣化はアナログと同じように少しずつ進行します。 しかしデジタル記録では
  • 量子化(簡単に言えば、あいまいなデータを0か1に分けること)
  • エラー訂正機構(少しの 0, 1 の間違いは検出して修正する)
というデジタルならではの仕組みを使うことによって微妙な劣化はいっさい表に出てきません。
仕組みを考えれば明らかなように、エラー訂正機構が効かなくなるレベルまで劣化するとそれまで隠していた劣化が一気に表面化します。 それが運悪く圧縮データの要、記録媒体の要にあたる部分だと圧縮エリア、記録媒体が全滅する可能性もあります。

デジタル映像の劣化のイメージ図
さて、もうひとつの意味での「デジタルは劣化しない」のウソですが、こちらは言葉の間違いです。今後みなさんも次のように言ってください。
  • デジタルはコピーしても劣化しない
説明は特に要らないでしょう。
最初の話題に戻ると、大切な映像はどうやって保管すればいいかという問題にも結論が出ます。 もうお分かりでしょうが、答えは「コピーを作っておく」です。
いまここに、1年後には20%の確率で劣化して壊れてしまう媒体があったとします。 これに家族の大事な映像を記録していたら、1年後にはその80%しか残っていないことになります。 そこで、これを2つ用意して保管していたら、1年後には何%が残るかわかりますか?
答えは、96%。 ものすごく信頼性が向上することがわかります。

バックアップあり/なしによる信頼性の差
これでもう答えは出たと思いますが、「大切な記録は何で保管するのがよいでしょうか?」と聞いている暇があったら1つでも多くバックアップを取りましょう。 ちなみに私の場合ですが、手元においているのは基本的に
  • 編集前のマスターテープをそのまま。
  • 編集後映像のDVD-VideoをDVD-Rに。(手元用、配布用)
  • 編集後映像のDVD-VideoをHDDに。(vobファイルの状態)
  • 編集後映像のwmvをHDDに。(配布もあり)
万全を期したいものはさらに編集後映像の生MPEGをDVD-RAMに保存しています。
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