解像度と解像力と解像感
近頃のハイビジョンカメラは、いわゆる「フルハイビジョン」、つまり1920×1080で記録できるのが当たり前になりつつあります。
デジカメと違い、放送の規格が決まっているので(今のところ)これ以上の解像度はありません。
フルハイビジョンだからさぞかし高精細な映像が撮れそうな気がしますが、現実は違います。
どれだけ細かい映像が撮れるかを表す言葉として、「解像力」「解像感」というものが使われます。
これの正体を考えてみましょう。まずは下の画像を見比べてください。
解像力がなさそうな画像
解像力がありそうな画像
さて、どちらの解像力が上でしょうか?
正解は同じです。実は右側は、左の画像に対して後処理でシャープフィルタをかけただけ。
ですので最初の画像の持つ情報量を超えることはありません。
欠落した情報さえあるでしょう。
しかし、パッと見は右の画像の方が解像力があるように見えます。
もうひとつ、別の例を挙げてみましょう。
ノーマル
拡大
遠目に見ると下に行くほど解像しているように見せかけてその実、ガギガギに画像を加工しているだけです。
残念ながらこれに騙される人はけっこういます。
念のため、後処理によるシャープネスの基本的な考え方を説明します。
シャープネスは明るさを急激に変えてエッジをはっきりさせる処理といえます。
しかし、無理やり数値差を広げようとするため、右の絵のように黒いふちどり、または白いふちどりが発生します。
これをふまえてもう一度上の絵を見てください。
元の信号
シャープフィルタ後
では、最後に本当に解像力が上のものと比べてみましょう。
解像力がない画像
解像力がある画像
言うまでもありませんが、「解像度」は両者とも同じです。
では、さらにシャープフィルタ後のものと比較してみましょう。
シャープフィルタによるニセ物
本当の解像力がある画像
一見、右側はコントラストが低いなまった画像に見えなくもないです。
しかし本当は左側は偽の信号を入れてコントラストが高いように見せかけているのです。
拡大してみるとよく分かります。左は何が枝で何が空なんだかわからないですね。
ニセ物の拡大
本物の拡大